2021年 5月 17日

  • 相続登記義務化!~所有者不明土地など ~

    2021.05.17

    「所有者不明土地」が社会問題となっていて、集めると推計で九州ほどの面積になるといいます。国土交通省の調べでは2/3は相続登記の未了で、残りは住所変更登記の未了に原因があるそうですが、現状で、相続登記の申請が法律上義務ではないところにも問題があったようです。

    2021年421日の参院本会議で相続登記義務化に向けての関連法が可決・成立しました。報道によると2024年頃には施行され、手続き等が整備されることになりそうです。(司法書士さんや弁護士さんの専門分野ですが、調べたところを記しておきます。)

     

    ◆「相続登記」等に係る予防方策は・・・?

    所有者不明土地の発生を予防する方策として、次のような制度が導入等される予定です。

    (1)相続登記の申請義務化!

    不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内の相続登記が義務付けられます。(罰則あり)

    (2)相続人申告登記制度の新設!

    遺産分割を経る前の段階で、法定相続人を登記する制度が新設されます。簡易な手続にするようで、登記官が職権でも登記でき、持分は登記されません。

    (3)住所変更未登記への対応!

    所有権者が住所等の変更日から2年以内に、変更登記申請が義務付けられます。(罰則あり)なお、法人が所有する不動産に会社法人等番号を登記事項に追加し、名称や住所変更した法人の情報が、自動的に不動産登記システムに通知され、登記官が職権でも変更登記できるようになります。

    (4)所有不動産記録証明制度の新設!

    特定の者が名義人となっている所有不動産の一覧を、証明書として発行できる制度が新設されます。

     

    「土地利用の円滑化」のための方策は・・・?

    所有者不明土地の発生を予防するとともに、既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化のための見直しも行われます。

    (A)相続土地国庫帰属制度新設!

    相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させる制度が創設されます。ただし、10年分の管理費の予納が必要で、また、実際の要件は更に厳しくなりそうで、期待するのは危険です…。

    (B)遺産分割長期未了状態の解消!

    民法の改正によって、相続開始から10年経過後は、法定相続分で遺産分割を行う仕組みが創設される予定です。具体的には不明ですが、寄与分や特別受益などの主張が できなくなり、遺産分割の長期未了状態の解消が促進されます。なお、施行日前の相続にも一部適用される予定です。

    (C)所有者不明土地管理制度新設!

    所有者不明土地を管理するための制度が創設されます。裁判所の命令によって管理人が選任され、裁判所の許可があれば売却も可能になります。また、管理不全土地・建物の管理制度も創設される予定です。所有者が管理を放置していることで、他人の権利が侵害されるおそれがある場合に対応した措置です。

    (D)不明共有者がいる場合に対応!

    不明共有者等に対して公告等をした上で、残りの共有者の同意で共有物の利活用を可能にする制度を創設。また、不明共有者の持分の価額に相当する額の供託により、不明共有者の持分を取得し、共有関係を解消する仕組みも創設されます。

    (E)隣地等の利用・管理の円滑化!

    導管の設置や境界測量などで隣地の利用の制約を緩和されています。

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