2026.02.25
令和7年11月、実家(亡父名義)の建物を解体し、更地になったことを受けて、「滅失登記」を法務局に自分で申請してまいりました。
解体工事代金を支払った後、解体業者さんから「建物取壊証明書」と「印鑑証明書」が送付され、滅失登記の手順についても案内があったので、専門家(土地家屋調査士さん。情報では報酬は
5万円前後だとか‥)に依頼せず、後学のためにも自分でやってみることにしました。
◆ 「滅失登記」申請の準備と相談・提出‥‥!
申請に当たり、準備した書類は次のとおりです。
(1)登記申請書(法務局のサイトからWord形式でダウンロード。記載例あり)
(2)登記簿謄本(登記事項証明書、事前確認用)
(3)業者の取壊証明書(印鑑証明書も受領しましたが、ネット情報では法人番号を記載すれば
印鑑証明書は不要との記載も)
(4)亡父の住民票の除票(いわゆる「除くの住民票」)
(5)戸籍謄本(所有者である亡父と申請者である私との関係が分かるもの)
(6)住宅地図(現地案内図)
(7)解体後の現地写真(念のため?)
─── になります。
直接、窓口に提出することも可能でしたが、若干不安もあり、せっかくの機会でもあったので、
「登記手続案内(相談)」を電話予約しました。
その管轄法務局(出張所)では“午後の2枠のみ”とのことで、限られた選択肢の中から選んで訪問しました。
当日は、相談担当の方に親切・丁寧に書類を確認してもらい、不足資料についての案内(後で受付番号を書いて郵送すれば良い)も受け、クリップで束ねるところまでしていただいて無事提出できました。一連の作業の中で分かったことは、次のとおり…。
(1)の登記申請書は事前作成して持参しましたが、申請人欄は亡父との連名が必要とのことで、その場で加筆しました。訂正に備えて上部余白に「捨て印」を、との助言?もありました。
なお、建物所有者が亡くなっている場合には、相続人のうちの一人が単独で申請することができます。
(2)の解体業者の取壊証明書は記名押印(実印)のみで、記載欄はすべて空白…。業者いわく「申請側で登記簿どおり正確に記入するのが慣例」とのこと。そのため、必要事項を自分で記入し持参しました。ネット情報では、「申請人作成→解体業者が押印」という方式でも可だとか…。
(6)は現地調査が必要になる場合があるとかで、滅失した建物の所在地を示す案内図の添付が求められました。相談会場で住宅地図のコピーをもらえて、その場で場所をマークして添付するかたちで済みました。とても親切…。
滅失登記完了は20日後で、その後3ヶ月以内に「完了証」を受け取る必要があるとのこと。
訪問が難しいと伝えると、レターパックプラスでの返送も可とのことで、現地で購入できました。
◆ 市役所の固定資産税課へ‥‥!
実は、未登記建物もあったため、解体した旨をその足で市役所(資産税課)へ報告に行きました。
固定資産税通知書の明細を提示して事情を伝えると、「現地調査を行いますので控えておきます」とのことで、特段の届出は不要でした。自治体によっては「家屋取壊届」を公開(ダウンロード)し、郵送で受け付けるところもあるようです。
なお、固定資産税・都市計画税は毎年1月1日現在の状況で課税されるため、建物を取り壊せば翌年度から家屋分は課税されなくなります。
一方、土地は「住宅用地の特例(小規模住宅用地の特例等)」が適用されず、固定資産税・都市計画税が約3~5倍に増額するので、注意が必要です。
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2026.02.25
相続税の課税価格に事業用の宅地等が含まれる場合、「小規模宅地等の特例」の適用可否は税額に影響します。
特に、被相続人が経営していた法人に貸していた宅地等について、相続後も親族の後継者が事業を継続し法人が引き続き使用している場合、その宅地等が「特定同族会社事業用宅地等」に該当するかどうかが重要な検討ポイントとなります。
◆ 適用要件を確認する……!まず、「特定同族会社事業用宅地等」として小規模宅地等の特例の対象となるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
(1)【事業継続要件】相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業の用に供されている宅地等であること(不動産貸付業・駐車場業等を除く)。
除かれる場合は「貸付事業用宅地等」で再検討も…。
(2)【法人要件】相続開始の直前において、被相続人および被相続人の親族等(配偶者、6親等内血族、3親等内姻族、特別の関係がある者)が50%超の株式(出資持分)を保有していること。
(3)【役員要件】その宅地等を相続した親族が、相続税の申告期限においてその法人の役員であること。
(4)【所有継続要件】その宅地等を相続税の申告期限まで引き続き所有していること。
(5)【利用状況要件】建物又は構築物の敷地として使用され同族会社に有償で貸付けられていること。但し、建物が生計別親族の所有の場合は該当しません。
このように、「特定同族会社事業用宅地等」に該当するのは、被相続人や親族等が支配する同族会社に対して貸し付けられている事業用宅地等であり、要件は比較的緩い規定となっています。
その一方で、実務上、誤解や疑問が生じやすい点も少なくありません。
相続開始時点において、被相続人自身がその同族法人の株式を保有していることは要件とされていません。また、宅地等を取得する親族については、相続税の申告期限において役員であることは求められますが、同族会社の株主であることまでは要件とされていません。
さらに、被相続人や同一生計親族が、相続開始時点又は相続税の申告期限においても、その法人の役員であることも要件とはされていません。
◆ 適用限度面積を検討する……!
前記の要件のすべてを満たす場合、その宅地等は小規模宅地等の特例における「特定同族会社事業用宅地等」に該当し、400m2を限度として80%の評価減を受けることができます。
もっとも、建物内部で利用状況が異なる場合は注意が必要です。
事業用部分と居住用部分、その他の部分が混在しているときなどは、利用区分ごとに床面積を按分し、それぞれについて、どの類型の小規模宅地の特例が適用できるかを個別に検討します。
(特定居住用とはダブル適用も可…)
また、共有持分で取得する場合は、取得した割合に応じて、要件充足の有無を判定します。
さらに、配偶者が相続人となる場合には、「小規模宅地等の特例」を適用しなくとも、配偶者に対する相続税額の軽減により、結果として相続税が生じないケースも少なくありません。
一方で、配偶者が相続税の申告期限までに同族会社の役員に就任していれば、取得した宅地等について「特定同族会社事業用宅地等」として特例を適用できる可能性もあります。
以上、特例適用にあたっては、取得者と取得割合、要件の当てはめ、将来の事業承継も踏まえ有利・不利を判断する視点が重要となります。
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2026.02.25
令和7年12月に公表された令和8年度税制改正大綱では、資産課税分野において「貸付用不動産」および「不動産小口化商品」の評価方法の見直しが盛り込まれました。
相続税の申告実務、とりわけ不動産活用を前提とした生前対策に与える影響は小さくありません。
◆ なぜ今、見直しが必要なのか・・・!
令和7年11月の政府税制調査会の専門家会合に、国税庁より「財産評価を巡る諸問題」と題する資料が提出されました。資料では、令和4年の最高裁判決等を契機として発出された令和6年のいわゆる「マンション通達」の適用対象外となる、一棟所有の賃貸用マンション等を利用したスキームが現在も散見されること、またその都度、個別に対応せざるを得ない状況が生じていることが問題として示されています。
掲載事例では、相続開始前に一棟賃貸マンションの“駆け込み取得”が行われたケースが紹介されています。被相続人は主宰法人からの借入れにより21億円で一棟賃貸マンションを購入し、約3年後に死亡した際には、相続税評価額(通達評価額)が4.2億円にとどまり、いわゆる乖離率は約5倍となっていました。その結果、相続税が約8億円減額となる申告が行われていたとされています。
◆ 改正内容の骨子(貸付用不動産)・・・!
大綱に掲げられた改正内容案は次のとおりです。
(1)対象不動産・・・被相続人等が、相続・贈与の課税時期前5年以内に、対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産。
(2)評価方法・・・課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。
ただし、課税上の弊害がない限り、被相続人等が取得等をした貸付用不動産に係る取得価額を基に、地価変動等を考慮して計算した価額の80/100に相当する金額により評価することができることとする。
(3)適用時期・・・令和9年1月1日以後に相続等により取得する財産の評価に適用する。
(4)適用除外・・・通達に定める日までに被相続人等がその所有する土地(同日の5年前から所有しているものに限る)に新築をした家屋(同日において建築中のものを含む)には適用しない。
◆ 実務への影響と注意点・・・!?
区分所有建物については、令和6年1月からいわゆる「マンション通達」が適用され、一般住宅等との比較により、時価の6割水準を目安として評価額の是正が図られました。
一方で、一棟所有の賃貸マンションについては同通達の適用対象外となり、評価上の問題が残っていました。また、前述の「財産評価を巡る諸問題」では、貸付用不動産の市場価格は主に収益性で価値判断が行われるため、賃貸割合が高いほど市場価格が上昇しやすいことが示されています。他方、相続税評価額では借家人の支配権による利用制限等を考慮するため、賃貸割合が高いほど通達評価額が低下しやすく、結果として時価と通達評価額が乖離し得る、との整理がなされています。
このような背景を踏まえ、区分所有建物に限らず貸付用不動産全般について、一定の是正を図る趣旨で通達改正が検討されているものと理解されます。
もっとも現時点では具体的取扱いがなお不明であり、対象範囲、貸家建付地・貸家評価の適用可否、贈与時評価の適用関係、取引相場のない株式を評価する際の純資産価額の算定への影響、適用除外の具体的判定等については、今後の通達改正・解説の公表を待つ必要があります。
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2026.02.25
「収入・資産格差の大きい夫婦間で、事前にやっておくべきこと、できること」をテーマに、一度まとめてみたいと思います。
(1)暦年課税による生前贈与……毎年110万円の贈与税の基礎控除を活用し、資産移転を図る方法です。もっとも、相続発生時に相続税申告が必要かどうか、あるいは申告をする場合にも7年以内の生前贈与は相続財産に足し戻す必要がある点など(受贈者が相続により財産を取得した場合)は注意が必要です。
(2)配偶者控除(贈与税の特例)……婚姻20年以上の夫婦間で、居住用不動産の持分を最大2.000万円分まで非課税で配偶者へ贈与できます。
将来、当該不動産を譲渡する際の「3.000万円特別控除」への備えにもなります。
居住用不動産の取得等資金にも適用可能で、購入時の資料、物件の抱える課題、潜在的リスクなども、事前に点検・解決・情報共有を。
(3)生活費・慶弔費の非課税贈与……社会通念上相当と認められる範囲で、高収入側が生活費等を負担する家計運営のルールを明確にしておきます。“名義預金”と判断されないよう、生活費の余剰が配偶者の手元に残る場合、単なる“へそくり”ではなく、贈与として認める意思を明言しておきましょう。
(4)医療保険や就業不能保険によるリスクヘッジ……稼得能力が低下した場合に備え、収入が高い時期から医療保険・就業不能保険等を活用し、生活不安の平準化をはかってリスクをカバーしましょう。
(5)格差是正や二次相続対策で生命保険契約の設計……死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)は相続人が受け取る保険金収入で按分するので、子がいる場合、夫婦間の死亡保険金受取の保険を掛け過ぎると(配偶者の税額軽減が逆に効いて)非課税枠があまり活きないので注意が必要です。また、二次相続においても死亡保険金の非課税枠を確実に活かせるよう、一次相続前から配偶者を被保険者とする生命保険に加入し、一次相続では「保険契約に関する権利」を配偶者が承継する設計が有効です。なお、一次相続前の死亡保険金は契約者が受取人となるよう設計し、一次相続後は適宜、受取人を「子」等へ変更しておきます。
(6)小規模企業共済(自営業者・役員向け)……中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する小規模企業共済は、掛金の全額が所得控除となるほか、任意解約であっても65歳以上かつ掛金納付期間180ヵ月以上であれば、掛金を上回る共済金を受け取れ、税制優遇措置もあります。
自営業者の配偶者についても、共同経営契約書の作成や事業資金の提供など、共同経営者としての実態を整えることにより(専従者給与を受ける前提のもと)、小規模企業共済に加入することが可能です。
(7)遺言書の作成……次のような場合は、配偶者に特に配慮が必要で、遺言書の作成をお勧めします。1、子どもがいない夫婦、2、子ども間の経済状況や生前贈与の偏りが大きい場合、3、子ども達の関係性や性格から、分割協議が難航する可能性が高い場合、4、不動産など、分割が困難な財産が中心となる場合(共有は避けるべし…)です。
遺言執行者は配偶者を指定しつつ、第三者にも委託できるよう記載しておきます。
(8)社会保険料を夫が負担する……妻が社会保険の被保険者でも被扶養者でもない場合、妻自身が国民健康保険(または後期高齢者医療制度)、国民年金等の保険料を納付する必要があります。この点、所得税の社会保険料控除は「納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合」に適用されます。
したがって、妻の口座からの引落しや特別徴収(妻の年金天引き)となっているものについては、振替口座の変更や納付方法の変更届で申し出て、夫が実際に支払うかたちに整えることで、夫側の所得控除による税効果を最大化できる場合があります。
ただし、小規模企業共済の掛金やiDeCo(個人型確定拠出年金、専業主婦も月額2.3万円まで可)の掛金については、それぞれ制度上、名義人本人でしか所得控除を受けることはできません。妻の年金から控除されている介護保険料も原則変更できません。注意が必要です。
(9)青色事業専従者給与・事業専従者控除……青色申告における青色事業専従者給与を適切に活用するためには、いくつか重要なポイントがあります。
まず、1、専従者給与の届出書を提出すること
2、届出金額以内で実際に妻へ給与を支払い労務の対価としての実態があることが必要です。また、不動産所得の場合には、いわゆる「5棟10室基準」の事業的規模が求められます。
一方、白色申告の場合には事業専従者控除の活用を検討しましょう。
(10)親からの相続財産の整理や処分……親から引き継いだ財産は、将来の妻や子の負担を避けるため、自分の代で整理しておくことが大切です。活用が難しい土地は、相続土地国庫帰属制度を利用して手放すことも有効で、残す不動産についても、土盛りや境界確定測量など、後々必要となる整備をあらかじめ済ませておきましょう。
(11)不動産で家族信託を組成……夫が所有する居住用や賃貸不動産について、夫を委託者・受益者、妻を第二受益者、子等が受託者とする家族信託をあらかじめ組成しておくことで、夫の死後に妻がその利益を受け続けながら、実際の管理や処分については子等が受託者として対応できる体制を整えておくことができます。将来、夫または妻の判断能力が低下し、成年後見制度を利用せざるを得ない状況になると、裁判所の管理下で財産処分が厳格に制限され、妻や子が望む柔軟な意思決定が難しくなるため、後見に頼らない体制を家族信託で事前に整えておく意義は大きいといえます。単に妻へ不動産を遺すだけでは十分とはいえず、承継後も適切に「守りながら動かせる」仕組みを構築しておくことが重要です。
(12)デジタル遺品対策……「終活」を意識し始めると、万一の際にスマートフォンやパソコンの中に遺される「デジタル遺品」が、遺族にとって大きな負担となり得ることに気づかされます。そこで、1、スマートフォンのロック解除用パスワードの共有 2、パソコン利用に伴う各種ネット取引上のID・パスワードの一覧化(不要なサービスは早めに縮小・解約) 3、メール・クラウド・アプリ等の処理(サブスク課金の停止やメルマガ類を含めた生前整理) 4、連絡先のリスト化(葬儀の連絡先、エンディングノートへの記載)といった準備が有効です。遺す人への思いやりを形に!
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