2025年 10月 15日

  • 土地・建物の「登記義務化」の流れ!

    2025.10.15

    長年の課題であった所有者不明土地問題が、2024年4月の「相続登記の義務化」で大きく動き始めました。
    続いて2026年4月には「住所等変更登記の申請義務化」が予定され、同時に「スマート変更登記」も導入されます。
    これに先立ち、2025年4月からは「検索用情報の申出制度」も始まりました。

    それぞれの制度の概要を見ておきましょう。
    (既に「申請用総合ソフト」も提供され、変更登記等のご自身でのオンライン申請も可能ですが、ご依頼を受けた方には司法書士さんをご紹介しています。)

    ◆相続登記の義務化(2024.4〜)…
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    不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内の登記申請が必要です(罰則あり)。
    改正前の未登記不動産についても、遺産分割協議で取得が確定した日から3年以内の登記申請が義務付けられています。
    なお、遺産分割前でも法定相続人を簡易に登記する「相続人申告登記制度」が新設されています。

    ◆検索用情報の申出制度(2025.4.21〜)…
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    来年4月からの制度開始に先立ち、現在、所有権の保存・移転等の登記申請時には、検索用情報(氏名のフリガナ、生年月日、メールアドレス)の申し出が必要とされます。
    2026年4月の新制度開始後は、生年月日やフリガナは住所と併せて住基ネットへの照会に使用され、メールアドレスは登記官が職権で住所等変更登記を行う際、所有者に確認の通知を行うための宛先として用いられます。
    また、申し出手続が完了した際にもメールが送信されます。
    申し出された生年月日やフリガナ、メールアドレスの情報は、登記簿には記載されず、公開もされません。
    なお、「メールアドレスは無し」とした場合は、職権で登記を行うことの可否の確認は書面で送られる予定です。

    ◆住所等変更登記の申請義務化(2026.4〜)…
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    所有者不明土地が増えた一因は、相続登記の未了のみならず、住所等の変更登記が義務付けられていなかった点も影響しています。
    そのため、2026年4月以降は、氏名または住所の変更があった場合、不動産所有者は2年以内に変更登記を申請する義務が課され、違反した場合は5万円以下の過料の適用対象となります。
    なお、改正法の施行日前に住所等の変更があった場合でも、施行日から2年以内の申請が求められることが明記されています。
    また、次の「検索用情報」を申し出ていれば、住所等変更登記の義務化後も義務違反には問われないとされています。

    ◆スマート変更登記(2026.4〜)…
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    住所等の変更登記申請義務への対応を簡便化するため、「職権による住所等変更登記」制度、いわゆる「スマート変更登記」が導入されます。
    この制度では、所有者があらかじめ「検索用情報」を申し出ておくことで、登記官が住基ネットを定期的に照会し、取得した情報に基づいて職権で変更登記を行うというものです。
    法人についても、事前に会社法人等番号を申し出ることができ、いずれの申し出も無料です。
    さらに、職権による住所等変更登記には登録免許税も課されません。
    したがって、不動産の売買や担保設定等で早期の変更登記が必要でない場合には、「検索用情報」の申し出を済ませておけば、後日、無料で住所等の変更登記が行われている、ということになります。

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  • 孫を受取人とする生命保険!

    2025.10.15

    高齢化の進展に伴い、「相続人の半数超が還暦以上だった」(日経新聞)という記事に象徴されるように、「老老相続」の問題がしばしば取り上げられるようになってきました。
    こうした状況を踏まえると、相続発生の時点で資金を必要とする孫世代に財産を承継させたい、あるいは次の相続への備えとして一世代飛ばしで財産を移転させたいと考える方も少なくありません。
    そこで今回は、孫を受取人とする生命保険契約に関する留意点を整理してみたいと思います。

    ◆ 「死亡保険金」受取人を孫にする・・・!
    孫は、子が先に亡くなって代襲相続人となる場合や養子となっている場合を除き、通常は法定相続人には含まれません。
    したがって、被相続人が契約者(=保険料負担者)であり、孫を受取人とする死亡保険金は、遺贈により取得したものとみなされ、“みなし相続財産”として相続税の課税対象となります。
    この場合、孫は法定相続人の人数にカウントされないため、(1)相続税額の計算における相続人の数は(基礎控除額も)増えず、(2)死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は適用されずに受取額が相続財産に加算され、(3)孫が取得した財産に対する相続税額には「2割加算」が適用され、その結果、税負担は相対的に重くなります。
    さらに注意すべきは、(4)“相続または遺贈によって財産を取得した者”は「生前贈与加算」の対象となる点です。
    死亡保険金も“取得した者”となり、相続開始前3年以内(令和9年以降は段階的に延長、令和13年以降は7年以内。
    但し、延長部分には100万円の控除あり)に被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与分は相続財産に加算され、相続税の課税対象とされます。
    もっとも、孫が“相続時精算課税”を選択していた場合には、年110万円以内の贈与分は加算の対象外になります。
    また、死亡保険金は受取人固有の財産とされ、基本的には遺産分割協議の対象外です。
    しかし、(5)孫が受け取った金額は、相続税申告書上明らかになるため、他の相続人にも影響を与え、遺産分割協議に波及する可能性も否定できません。

    ◆ 「保険料贈与プラン」で生前贈与も・・・!
    この問題を回避するには、死亡保険金で孫に財産を渡すのではなく、「生前贈与」によって移す方法が考えられます。
    しかし、生前に多額の資金を自由に渡すと、教育的配慮を欠き、価値観も狂わせてしまう恐れがあると指摘されることも…。
    そこで近年注目されているのが、年間110万円の贈与税の基礎控除を活用した「保険料贈与プラン」です。
    これは、孫を契約者・死亡保険金受取人とする生命保険に加入し、祖父母からの贈与資金を保険料に充てる仕組みです。
    (被保険者は祖父母、または高齢の場合は孫の親とすることもあります…)
    通常は年払いとし、引落日の前に祖父母から保険料相当額を入金(贈与)してもらいます。
    なお、その口座の通帳や印鑑は孫本人(未成年なら親)が管理する必要があります。
    この場合、解約や保険金支払い時には、払込保険料との差額が「一時所得」(50万円控除後1/2課税)として他の所得と合算して課税されます。
    但し、保険料相当額の授受の都度、贈与が成立していることが要件となり、贈与契約書への署名捺印をしておくことをお勧めします。
    従って、祖父母が認知症などで弁識能力に問題が生じた場合には、継続できなくなる可能性があります。

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