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  • 『付合』所有者と異なる者が費用負担!?

    2024.02.09

    「親と同居するにあたり、父名義の家のリフォーム代金を子が出す予定で、税務上問題ないですか」と、時々ご相談を頂きます。
    実は意外に難しい論点です。

    ◆ 民法の「付合」に該当し “みなし贈与”に・・・!?
    家屋の増改築を行う際、建物所有者でない者が増改築費用の資金負担を行う場合は、建物名義を変更しないでいると、贈与税が課される可能性があると言われます。
    それは、増改築部分は民法に規定する「付合」(民法242条)により、建物の所有者がその増改築部分の所有権も取得するためで、当事者に贈与意思が無かったとしても、そのままでは“子から親へ”の贈与とされるのです。

    ◆ 一般的に言われる対処法は二つ・・・!?
    そのため、次の二つの対処法がまず挙げられます。
    一つ目は、父が有していた増改築前の家の価額(通常、固定資産税評価額を使用)と子が出すリフォーム代金(場合によってはリフォーム代の70%相当額にするケースも…)の割合になるよう、代物弁済を登記原因として建物の持分を共有名義に変更する『価値に見合う持分を共有で持つ方法』です。
    この方法では、通常贈与税が課されないように持分の検討を行い、ただ、登録免許税などの登記費用がかかるほか、父から子への持分移転に伴い、譲渡所得が発生する可能性があります。
    つまり、父は残存持分に見合う本来負担すべきリフォーム代相当額を対価として、移転持分を子に譲渡したことになるからです。(居住用財産譲渡の3,000万円控除は使えません。)
    二つ目は、『前もって家屋を贈与し子名義にする方法』で、建物名義の全部又は多くの部分を子に贈与(暦年課税又は相続時精算課税)して、それからリフォームを行う方法です。
    この場合、贈与税がかかったり、登録免許税などの登記費用がかかりますが、もし子が増改築に当たって住宅借入金等特別控除を受けるならば、(前もって)自ら所有し居住する必要がありますので、こちらの方法を採るべきと言えます。
    ただし、3年以内の贈与財産の加算とその改正には注意が必要でしょう。

    ◆ その他に、実務的な対処法は・・・!?
    実は、「自分達が住む(間借りする)部分の費用を自分で出すだけなのに、なぜ建物の持分まで」と、素朴な疑問を持つ方はいるでしょう。
    「賃貸物件に借主が内装工事を施すのと同じなのに何故」と感じるかもしれません。
    家族間という関係性からは「付合していない」という説明はなかなか難しいですが、賃貸借と同じく原状回復義務があるということなら、「付合していない」も主張できるかもしれません。
    「使う者が自ら費用を出しているだけだから」と何もしないで、『贈与税の(法定申告期限から)6年の時効が経ってしまった』ということもあるかもしれません。
    というのも、リフォームによって増床が無い場合は、登記も固定資産税評価額も変わらないからです。(父の相続発生により、相続財産を押し上げるリスクはあります…)
    また、父の所有建物のリフォーム代は、民法上の整合性を優先して、『リフォーム資金は子から父へ貸付け(金銭消費貸借)、所有者である父がリフォームする方法』もあるでしょう。
    この場合、相続税対策にはなりますが、子に兄弟等がいると、父の相続時点で特定の子に対し大きな負債を抱えることになり、子の費用負担も不公平となることから、父死亡時の分割協議を複雑にします。
    なお、その貸金についてリフォーム後の不動産持分を代物弁済するという方法もあるでしょう。

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