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2022.06.09
◆ 令和4年4月19日に、業界で話題持ち切りの裁判に終止符が打たれました。
最高裁判決が出て、納税者の敗訴が確定したのです。
相続税対策として生前に購入したタワーマンションの評価額をめぐって、相続が発生してなされた相続税申告において、財産評価基本通達の『総則6項』の「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産」に該当するのかどうかをめぐって、『総則6項』が適用されるべき(時価評価=購入価額に近い鑑定評価額)財産とする国側と、適用されるべきではない(路線価や固定資産税評価額をもとにした「財産評価基本通達」による通常の評価)と主張する納税者側との争いです。
もともと、タワマン節税をめぐる裁判の中でも、取得が死亡直前でもなく(約3年経過して相続発生)、死亡後すぐに売却したわけでもない事案(2棟のうち1棟は保有し続けていた)で、国税不服審判所、東京地裁、東京高裁と納税者側が敗け続けていたところで、最高裁に上告されていました。
最高裁でも上告棄却で納税者側の敗訴確定が有力視されていたところですが、3月に最高裁から口頭弁論を開催すると発表があり、再度注目が集まっていたのです。
というのは、口頭弁論は下級審判決が変更される際に開かれることが多いからです。
ところが、蓋を開けてみると判決は見直されることもなく、納税者敗訴で終わることになったわけで、今後、相続税の節税を目的に不動産を取得した場合の事例では、「6項発動」による時価評価のリスクを常に念頭に置かなければならないでしょう。
今後は「時価と通達評価の著しい乖離」のある高額資産の取得の際には、投資目的以上の租税負担回避目的が推認されないかに注意し、「租税負担の実質的な公平という観点から、看過し難い不均衡が生じている」と指摘されないようにしなければなりません。
つまり―――
(1)借入金を伴う高齢での新たな物件の取得
(2)銀行や会計事務所と節税を主目的とした検討
(3)タワマンや不動産小口化商品など時価と通達評価の乖離率が高いエリア外の物件の取得
(4)相続後(調査前)にすぐに売却
―――などのケースについては特に注意が必要でしょう。