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2022.06.09
令和元年7月以降に発生した相続から、遺留分減殺請求は遺留分侵害額請求へと変更されました。
遺留分を考える上では、特別受益と寄与分(特別寄与料)がキーになってきますが、今回は「特別受益」についてまとめてみます。
(記事は、税理士としてのメモで、詳細は専門家である弁護士さんにご確認ください。)
特別受益とは、被相続人から多額の生前贈与や遺贈を受けた共同相続人がいる場合は、相続分を計算する際は調整を行う旨、民法が規定しているものです。
つまり、法定相続分を考える上では、“遺産の前渡し”だとして、特別受益の持戻し(相続財産に計算上戻すこと)を求めることができるのです。
ただし、民法には「持戻し免除」も規定されていて、被相続人の意思表示(決して書面でなくてもよいそうだが…)があれば、その意思に従うとなっていて、婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産の贈与には、持戻し免除意思の推定規定もあります。
なお、結婚の際の贈与や、入学や新築のお祝いも、常識的な金額であれば特別受益にはあたらないとされていて、生命保険金も、特段の事情がある場合を除き、特別受益には該当しません。
また、相続人の配偶者や子に対する贈与は、原則として特別受益にはあたらないと考えられます。
(実質的に、というところで争いになることはあるかもしれませんが…)
なお、被代襲者(代襲者)の相続人に対する贈与は、代襲原因や時期などで、特別受益になるケースもあるようです。
特別受益の評価額は相続開始時点とされ、例えば承継者に株が贈与され、その後株価が上昇した場合の増額分も特別受益に含まれることになります。
除外合意や固定合意を使わないと不安が残ります。
遺留分の計算で特別受益に関しては、相続人以外の者に対する贈与は「原則として相続開始前1年間に行われたもの」を、相続人に対する贈与は「原則として相続開始前10年間に行われたもの」を加えるとなっています。
(贈与当時、当事者双方が遺留分権利者※に損害を与えることを知っていた場合は、時期に関係ない、ということも…)
そして、被相続人が持戻し免除の意思表示をしていても、遺留分を侵害することはできないとされています。
なお、遺留分権利者※についての、特別受益の期限の定めは無く、10年以上前の贈与であっても加味されるという話も…。
※…遺留分を主張して請求する側
遺産の分割に関しては、基本的にはすべての事情を考慮して、相続人間の話し合いで決めることになります。
ただ、特別受益があれば、遺産分割協議で考慮しなければならないとされていて、その際は、特別受益に時効という考え方はない、と言われています。(主張する側に立証責任が…)
ただし、分割協議においては、被相続人の持戻し免除の意思表示は有効とされます。
なお、令和5年4月1日以降は、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割では、法律上の義務としては、原則として特別受益(寄与分も)は考慮しなくて良いことになります。